チベットの草原で生きる女性の
恋愛と妊娠と産児制限
監督・脚本:ペマ・ツェテン
配給:ビターズエンド
公開:(1月22日(金)シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー)
公式サイト:http://www.bitters.co.jp/hitsujikai/
【ストーリー】
チベットの羊飼いの妻ドルカルは、3人の子持ち。無料配布のコンドームをもらいに病院に女先生を訪ねる。「家にあったものは子どもが風船だと思って使ってしまったの…」しかし新たに入手した分も、子どもが風船遊びに使ってしまう。妊娠したドルカルは中絶を望むが、夫のタルギェは許さない。直前に死んだ父親の生まれ変わりと信じていたのだ。
【みどころ】
中国の一人っ子政策は、少数民族には緩和されており、当時チベットでは3人までは許されていた。とはいえ、産児制限は「豊かな生活」へのパスポートとして推奨されている。その中で「4人目」をどうするかをめぐる、女性の立場と決断を描いた物語だ。
夫婦円満で性欲旺盛な夫の「男らしさ」は、種羊にもなぞらえるほど彼女にとっても生活の潤いではある。だが結果としての望まぬ妊娠を、周囲は「自分の問題」として捉えてくれない。3人の子どもを抱えながら重労働に勤しむ主婦のドルカルの決断を、女性は、男性は、どう思うだろうか。ドルギェの妹が若くして尼になった理由も悲しい。望まぬ妊娠で傷つくのは、いつもどこの国でも女性である。(文/仲野マリ)
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