ヘンクツ政治家が信念を貫いた、底力の源はどこに?
監督:ジョー・ライト
配給:ビターズ・エンド/パルコ
公開:3月30日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
公式サイト: www.churchill-movie.jp
【ストーリー】
1940年、第二次世界大戦初期。ヒトラー率いるナチス・ドイツの勢力が拡大する中、英国では内閣不信任案が決議され、ウィンストン・チャーチル(ゲイリー・オールドマン)が首相に。チャーチルは政界の変わり者として有力議員たちからは嫌われており、国王ジョージ6世も首相就任を歓迎しない。愛妻クレメンティーンだけが心の支えだ。一方、世界情勢は急激に変化し、フランスはドイツ軍に陥落間近でイギリスにも侵略の脅威が迫る。やがて英仏連合軍がダンケルクの海岸で窮地に追い込まれる危機の中、チャーチルはヨーロッパを、そして世界を救うため重大な決断を下す。
【みどころ】
チャーチルの首相就任からの27日間を、実話を基に映画化。第90回アカデミー賞でゲイリー・オールドマンの主演男優賞と、日本人アーティスト辻一弘のメイクアップ&ヘアスタイリング賞の受賞が話題になった作品だ。
英国政界のはぐれ者だったチャーチルがチャーミングな人物としてうまく描かれており、それには彼の妻と秘書という2人の女性の力が大きい。妻クレメンティーン(クリスティン・スコット・トーマス)は、気難しい夫をたしなめ、励まし、政治的なアドバイスもするパートナー。2人のウィットに富んだ会話は微笑ましく、チャーチルも妻を信頼し、大切にしていることが伝わってくる。リリー・ジェームズが演じた秘書のエリザベスも実在の人物。彼女はチャーチルが首相に就任する少し前に採用されたばかりの新人で、こだわりが強く厳しいチャーチルに就任早々クビにされそうになるが、日数を追うごとに絆が生まれていく。エリザベスは戦争で身近な人を亡くしており、チャーチルに一般市民の痛みや気持ちを思い起こさせる存在でもある。戦時下の難しい局面に首相になったチャーチルを、2人とも力強く凛とした姿勢で支えていたのが印象的だった。
【文/富田夏子】
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