「女王陛下のお気に入り」

©2018 Twentieth Century Fox

禁断と奔放、イングランド大奥の宮廷バトル昼と夜

監督:ヨルゴス・ランティモス
配給:20世紀フォックス映画
公開:2019年2月15日全国ロードショー
公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/Joouheika/

【ストーリー】
18世紀初頭、イングランドを統治するアン女王(オリヴィア・コールマン)は虚弱体質の痛風持ちで、車椅子で移動を余儀なくされる身だ。その上、今はルイ14世のフランスと戦争中。しかし今日の彼女は久しぶりに上機嫌で、女官長のレディ・サラ・チャーチル(レイチェル・ワイズ)と祝杯を挙げる。サラの夫、モールバラ公爵(マーク・ゲイティス)の率いる軍が、ヨーロッパで一強支配だったフランスに大勝利を治めたのだ。サラは女王とは幼馴染だった。気まぐれな性格の女王を意のままに操り、絶大な権力まで握り、友人以上の親密な関係にある。そんな中、サラの前に「あなたの従妹だ」と名乗る没落貴族の娘アビゲイル(エマ・ストーン)が現れ、召使いとして雇って欲しいと懇願される。困難の多い人生を歩んできたアビゲイルは、人を魅了する才能を持ち合わせ、サラに気に入られ召使から女官となり、アン女王の寝室付き女官へと駆け上っていく。やがて戦争をめぐる駆け引きの中、サラと女王との関係に翳りが見え始める。その裏でアビゲイルが、再び貴族へと返り咲くチャンスを狙っているのだった。

【みどころ】
豪華絢爛な王室が舞台。昔も今も世界に影響力のある大英帝国が、どのように国家の存続を図っていたのか、登場人物の行動から浮かび上がってくる映画だ。3人の女性が生き残りをかけて、頭脳と肉体と精神力を駆使する姿が印象的だ。彼女たちの生き様を通し、まるでゴシップ誌のように歴史の裏側が抉り出されていく。アン女王は子どものように気まぐれで怒りっぽい性格に描かれているが、史実によると王位継承の前に17回懐妊し、その子どもを全て失う経験の持ち主であった。命を賭けて自国を守ろうとした責任感と事実は重い。体調不良のアンの代わりに政治的権力を握るサラの半生も、負けず劣らず壮絶だ。夫の出世に貢献し、7人の子を産み、女王と性的関係を持ち、さらに美貌も持ち合わせマルチな才能を発揮する女性だった。没落貴族の娘アビゲイルは、再び貴族に返り咲こうとし、小さなチャンスをものにする気概に満ちた女性。自力で人生を切り開く能力を有し、周囲との駆け引きも断トツに上手い。子孫への影響を考慮しながら、チェスの駒を打つかのように宮廷内で駆け引きをする女性の姿は、変化の目まぐるしい時代を迎えた今だからこそ人生戦略として共感ができる。因みにウィンストン・チャーチルとダイアナ妃は、サラの後の子孫にあたる。  

【文/花岡 薫

「ナチス第三の男」

『カメラを止めるな!』

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