コロナ禍で失われた劇場文化はいかにして蘇るのか?
監督:プリシラ・ピザート
配給・ギャガ
公開:2022年8月19日(金) Bunkamuraル・シネマ他全国順次公開
公式サイト:https://gaga.ne.jp/parisopera_unusual/
【ストーリー】
2020年、コロナ禍の世界から劇場文化が消えた。バレエの殿堂パリ・オペラ座も例外ではない。ようやく劇場が再開された時、久しぶりに集まったダンサーたちは踊れる喜びを感じる一方、これまでにない恐怖にさいなまれる。「体力が回復するか」「技術が前のレベルに戻るのか」「思い切りジャンプできない」―ところが、講師たちが彼らにかけた言葉は、意外なものだった。
【みどころ】
パリ・オペラ座は、これまでダンサーに対し、厳格なまでに「完璧」を求めてきた。技術だけでなく、容貌・体型・骨格に至るまで。そんなオペラ座の講師たちが、今回は「ゆっくり」「怪我をしないで」と提案。辛口は影を潜め「大丈夫」「できている」「完璧を求めなくていい」と褒めまくるではないか。その姿には、心底驚愕した。
コロナ禍でも、狭い部屋の中でストレッチやバーレッスンを欠かさなかったダンサーたち。それでもジャンプは「近所を憚って大きな音を出せなかった」と躊躇したそうだ。何より、狭い空間では難しいだろう。辛かっただろう。
オペラ座は知っている。ダンサーこそがバレエの未来を作るのだと。観客の声援がいかに重要かも身に染みる結末に注目だ。稽古場の様子や、再開第一弾となる「ラ・バヤデール」本番の舞台映像が満載。アマンディーヌ・アルビッソン、レオノール・ボラック、ヴァランティーヌ・コラサント、ドロテ・ジルベール、リュドミラ・パリエロ、パク・セウン、マチュー・ガニオ、マチアス・エイマン、ジェルマン・ルーヴェ、ユーゴ・マルシャン、ポール・マルクなどのパフォーマンスを大画面で観ることができる。コールド・バレエの面々の本音も語られ、バレエ好きにはたまらない。
【初出:Wife400号 2022年8月、加筆の上公開 文/仲野マリ】
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