「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」

© 2017 EX LIBRIS Films LLC – All Rights Reserved

「書庫」から進化する知の殿堂と「公共」の旗印

監督・製作・編集・音響:フレデリック・ワイズマン
配給:ミモザ・フィルムズ/ムヴィオラ
公開:岩波ホールにて5月18日よりロードショー
公式サイト:http://moviola.jp/nypl/

ストーリー
ニューヨーク五番街の一角に、ギリシャ神殿と見まごう建物がある。美術館か、あるいは政府の重要な建物かと思いきや、そこはニューヨーク公共図書館(NYPL)。外観だけでなく内部も素晴らしく、観光客も無料で見学することができる。NYPLはこの荘厳な本館のほか、地域や目的によって異なる92の分館を擁する。単なる「書庫」に終わらぬ図書館の多岐にわたる活動は、人々の生活に深く関わるものだった。

みどころ
NYには美術館や博物館、劇場や公園がたくさんあるが、そのほとんどが大富豪たちの寄付で賄われている。NYPLは市からも予算を得ているとはいえ、その例外ではない。そもそも流麗かつ壮大な本館は、鋼鉄王カーネギーの財力によって建てられた。しかしカーネギーの志は「公共」である。この図書館を通じて誰もが幸せになれるように。特に教育弱者、情報弱者に寄り添う積極性には「ここまでやるか?」と驚くほかはない。アメリカ社会の現状に鋭く切り込む視点には、ドキュメンタリー作家ワイズマン監督の初心も感じられる。心地よい予定調和がない上に205分と長丁場だが、ぜひ見てほしい映画だ。

『カメラを止めるな!』

「ホワイト・クロウ 伝説のダンサー」

関連記事

  1. 「バンクシーを盗んだ男」

    壁の落書きが1億円? ストリートアートは誰のものか監督:マルコ・プロゼルピオナレーション:イ…

  2. 「躍る旅人~能楽師・津村禮次郎の肖像」

    颯爽とジャンルの壁を越える老獪と柔軟と好奇心監督・撮影・編集:三宅 流 製作:究竟フィルム KU…

  3. 「何を怖れる~フェミニズムを生きた女たち~」

    女性を人間として認めさせるために監督:松井久子制作:「フェミニズムを生きた女たち」制作委員会…

  4. 「サムライと愚か者-オリンパス事件の全貌-」

    「見えない障壁」があぶり出すムラ社会・日本の愚鈍と愚直監督・編集:山本兵衛企画:チームオクヤ…

  5. 「筑波海軍航空隊」

    埋もれていた特攻の真実を集めて~「俺もあとから」と言った上官が行ったためしはない!~…

  6. 「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」

    学芸員の「プレゼン」が圧巻! きっとあなたも絵が好きになる監督・編集・録音:フレデリック・ワイズ…

  7. 「エリック・クラプトン―12小節の人生―」

    赤裸々告白とアーカイブ映像で綴る、ロック&ブルースの決定版クロニクル監督:リリ・フィニー・ザナッ…

  8. 「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー」

    沖縄が誇る不屈の正義漢ここにあり監督:佐古忠彦公式サイト:http://www.kameji…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP