『トールキン 旅のはじまり』

©2019 Twentieth Century Fox

この友情と愛、死の影と希望が「指輪物語」を生んだ!

監督:ドメ・カルコスキ
配給:20世紀フォックス映画
公開:8月30日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/tolkienmovie/

【ストーリー】
第一次世界大戦下、トールキン(ニコラス・ホルト)は砲弾と毒ガス、火炎放射にさらされながら、親友ジェフリー(アンソニー・ボイル)を探していた。ジェフリーは、トールキンが名門キング・エドワード校へ孤児ながら進学した時、最初に受け入れた男だ。後に強い絆で結ばれていく仲間4人の1人でもある。塹壕熱で泥の中に倒れたトールキンは、死神を乗せた馬が通るのを見る。

【みどころ】
世界有数のファンタジー小説を輩出した作家トールキンの半生を、忠実にそしてドラマチックに描いた秀作だ。幼少期に父を失いバーミンガムの貧民街に移った時、母親が「物語の主人公は、みんな最初はとても貧窮しているの。そしてそこから抜け出すために、『宝物』をみつけるのよ!」といって子どもたちを励まし本を読み聞かせる場面が印象的だ。物語の世界に没入する土台には、やはり親の影響が大きい。
階級社会のイギリスらしく、実力や人柄より先に、「南アフリカから来た」「正装でない」「(婦人が)外出時に帽子を被っていない」などで判断される様子も描かれている。奨学金を得るために、恋愛にまで口を出されるトールキン。一方で、当然ながら上流階級の息子たちにも彼らなりの悩みがある。家督をつぐべき男子として、生まれた時から真の生きがいを封印して生きねばならない宿命を持つ彼らにとって、学生時代は人生最後の青春のともしびである。階級社会のイギリスでその階級を超えて友情を育み、背伸びしたりふざけたりしながら仲間で励まし合って目の前の壁を越え、それぞれが自分らしく生きようとする場面には胸があつくなる。

 


合わせて観たい映画はこれ!
「ロード・オブ・ザ・リング(三部作)」(2001~2003)
「ホビットの冒険(三部作)」(2012~2014)
 監督:ピーター・ジャクソン

 

映画「トールキン」の中には、「あの作品のあのエピソードは、こういう体験をもとに描かれたのか!」と思い浮かぶ場面が多々あり、トールキンの作品を知っているとさらに感慨深い。原作小説「指輪物語」「ホビット」をもとにした映画では、とりわけ「ロード・オブ・ザ・リング」がおススメだ。
さらに、トールキンがエドワード校で知り合った同級生ジェフリー・ロバート・クリストファーの4人で作った秘密クラブ「T.C.B.S.」の強い絆と冒険心は、少年期と青年期の違いはあれど、「スタンド・バイ・ミー(1986、監督:スティーヴン・キング)」で描かれる男の子らしい仲間意識につながる。こちらもまた観直してみたい映画である。

【文/仲野マリ

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