サリンジャーに会いに行く! いじめられっ子一世一代の大冒険
監督:ジェームズ・サドウィズ
配給:東北新社、STAR CHANNEL MOVIES
公開:10月27日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷、渋谷武蔵野館ほか全国順次公開
公式サイト:http://raimugi-movie.com/
【ストーリー】
高校生ジェイミー(アレックス・ウルフ)の心の友はサリンジャー。「ライ麦畑でつかまえて」の主人公に自らを投影、この小説を舞台化して主役を演じるのが夢だ。だが上演許可をもらうにも、著者サリンジャーは世間から身を隠し居所が不明。ある日ひどいいじめに遭ったジェイミーは、どんなことをしてもサリンジャーに会うと決め旅に出る。
【みどころ】
全編を通じ、画面には70年代のテイストが溢れる。あの時代を生きた人なら、「小さな恋のメロディ」や「いちご白書」などの映画を思い出すかもしれない。ベトナム戦争の影も色濃く、進路を決めるエピソードは、重要な伏線となって展開する。一方で、ジェイミーを慕う女子学生ディーディー(ステファニー・オーウェン)の、聡明さとひたむきさにも注目。時に大胆に迫り、時に賢く主人公の冒険を手助けする。この物語は、監督の実体験に基づいているという。無鉄砲な冒険は若者の特権だが、見守る大人たちの一言が与える影響の大きさに、改めて気づかされる一編。本の世界を唯一の友とした時期を持つ人ならば、サリンジャーを知っていても知らなくても、感情移入できる佳作である。
【初出:Wife385号 2018年11月 文/仲野マリ】
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