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「レンタル・ファミリー」

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他人だから言える、家族に「してほしいこと」

監督:HIKARI
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
公開:2月27日(金)全国公開
公式サイト:https://www.searchlightpictures.jp/movies/rentalfamily
(第38回東京国際映画祭でジャパンプレミア)

【ストーリー】
フィリップ(ブレンダン・フレイザー)は、東京に7年一人暮らしのCM俳優。映画のオーディションは落ちてばかりだ。ある時「レンタル家族」の仕事を任され、リアルな人生で「役割」を演じるように。他人の婿となり父となり、記者に扮し父親ほどの歳の俳優(柄本明)と語らいを重ねるうち、フィリップの心情に変化が生じ始める。

【みどころ】
「レンタル家族」とは、依頼者の希望に合わせて、家族の代わりをする人を派遣するサービス(あるいは派遣されたスタッフ)のことを言う。血縁関係のないスタッフが、依頼者の要望に応じて親や連れ合い、子、兄弟姉妹など、依頼者にとっての「家族」を演じることで報酬を得る。
家族を亡くした人が、家族のようにやさしく振舞ってくれる人がほしくて依頼することもあれば、冠婚葬祭などで「ちゃんとした家族がいる」ことを示し体面を保つため、一日限りで頼むこともある。

こうした「レンタル家族」をサービス事業として大きな展開を見せ始めたのは、日本では1990年代ではなかったか。
それとともに、「レンタル家族」をテーマにした作品は、これまでにも多く作られてきた。
それは「役割」として家族を演じる第三者の視点を得ることで、人は家族に何を求めているかが浮き彫りになるからだろう。

本作品は在日アメリカ人の目から見た日本という視点もあり、異文化ギャップも織り交ぜて、日本人が求める家族像と現実とを描いていく。日本語と英語が飛び交うがそこに違和感はなく、私たちの日常がすでにグローバル化していることを強く感じさせる。

終盤、「レンタル家族」にほころびが出てくるあたりから、一気に緊張感が高まる。レンタル家族はどこまで心に寄り添うことができるのか。あるいは、どこから先は、ビジネスライクにつきあわねばならないのか。
「役割」で動くスタッフとはいえ、人間である。その精神的ストレスにハッとさせられる。
また、レンタル家族派遣会社の社長(平岳大)の日常が暴かれる時、人間の孤独はどうしたら癒されるのかを突き付けられる思いがした。

【文/仲野マリ】(『Wife』414号 2026年2月刊行「仲野マリの気ままにシネマナビ」に掲載したものに加筆)

「アフター・ザ・クエイク」

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