親友に拒絶された男 その孤独と悲しみと愛の行方
監督/脚本:マーティン・マクドナー
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
制作:イギリス
配給:アルバトロス・フィルム
公開:2023年1月27日(金)全国ロードショー
公式サイト:https://www.searchlightpictures.jp/movies/bansheesofinisherin
第35回東京国際映画祭ガラ・セレクション部門参加作品
公式サイト:https://2022.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3503GLS03
【ストーリー】
イニシェリン島に住む中年男パードリック(コリン・ファレル)は羊飼い。陽が傾くと、毎日親友のコルム(ブレンダン・グリーソン)を誘ってパブへ行く。ところがコルムが突然誘いを拒否し「今後お前が話しかけてきたら、俺は自分の指を切る」と言い出す。納得できないパードリックは仲直りしたくてコルムを誘い続けるが、コルムは態度を硬化させるばかり。やがて悲劇の幕が開く。
【みどころ】
落ち度がないのに拒絶されることほど理不尽なことはない。パードリックは戸惑い、ある時は愛を乞い、ある時は怒りをぶちまける。
一方コルムは老境に差し掛かり、「このまま毎日パブに行って、同じような世間話をしては酔って笑うだけでいいのか?」と人生をリセットしようとする。彼に共感する人も多いだろう。
だがコルムは、なぜパードリックでなく「自分の」指を切ると宣言するのか。アイルランドは身近な者が、敵味方に分かれて内戦を繰り返してきた。パードリックとコルムの諍いは、戦うほどに自分の一部がもぎ取られる内戦の象徴でもある。親しいからこそ許せない。そんな構図はどこにでもある。
【初出:Wife402号 2023年2月。加筆の上公開 文/仲野マリ】
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