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「スティール・レイン」(原題「鋼鉄の雨2」サミット)

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極東のパワーバランスを握るのは誰?
リアルな軍事緊張を正視する勇気


監督・脚本:ヤン・ウソク

配給:ハーク、配給協力:EACH TIME
公開日:2021年12月3日(金)よりシネマート新宿ほか全国ロードショー
公式サイト:https://www.hark3.com/steelrain/

【ストーリー】
南北朝鮮にとって念願の「平和協定締結」に向け、ハン韓国大統領(チョン・ウソン)、チョ北朝鮮委員長(ユ・ヨンソク)、そして米大統領による首脳会談が北朝鮮で開催される。だが核兵器放棄と国交正常化に反発する北朝鮮軍部による軍事クーデターが勃発、三首脳はサミット会場から拉致され、弾道ミサイルを搭載した原子力潜水艦「白頭号」に監禁されてしまう。

【みどころ】
時は「2021年7月」。過去でも近未来でもなく、現実情勢の厳しさをそのままに「今」の政局を描く韓国映画人の覚悟には驚くばかりだ。カリスマ性のある若者の北朝鮮委員長や陽気で粗野な米大統領は実在の人物を彷彿とさせ、中国外交筋の圧力や日本の極右団体の暗躍にも現実味がある。
つい最近も、北が弾道ミサイルを発射し、各国の潜水艦が日本海に出没するニュースもあった。日本が揺動され戦闘に巻き込まれそうになる場面では、設定のリアルさに思わず手に汗握る。朝鮮戦争の休戦協定は米中朝で結ばれたため、韓国は平和協定締結の当事者になれないことの重みがハン大統領の決断につながるのだが、そうした立場の歪みが現実でも問題を複雑にしていることを、感じずにはいられない。


第1作にも注目!
同じ俳優が北の工作員から南の大統領に! 配役の逆転に込められた思い

「鋼鉄の雨」(2018年Netflix)

監督・脚本:ヤン・ウソク
公式サイト:https://www.netflix.com/jp/title/80226234

前作となる「鋼鉄の雨」も、発端は続編同様に北のクーデターで、最後は対立した国の民が協力し合う形だ。
興味深いのは、同じ俳優を起用しながら配役ががらりと変わっている点。主人公の北朝鮮工作員に扮したチョン・ウソンは、2作目では韓国大統領。同じく前作で韓国外務省の官僚の役だったクァク・ドウォンが、続編では北の軍人となってクーデターを狙う。この逆転には「誰もが“向こう”で生きた可能性がある」という思いが込められているとは言えないか。70年前に便宜的に引かれた休戦ライン。だからこそ、南北統一は彼らの悲願なのだ。

「偽りの隣人  ある諜報員の告白」

「洞窟」

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