心を病んだ天才ミュージシャンの20年後
監督ビル・ポーラッド
配給:KADOKAWA
封切 :8月1日(土)より角川シネマ有楽町ほか全国ロードショー
公式サイト :http://www.loveandmercy-movie.jp/
1960年代、ザ・ビーチ・ボーイズは、「サーフィンUSA」などのヒット曲で一世を風靡する。その中心的存在ブライアン・ウィルソン(ポール・ダノ)は、天才的な作曲能力を持っていたが人見知りで、コンサートツアーよりスタジオでの曲作りが好き。没頭して斬新すぎる楽曲を連発するうち、やがて神経を病むようになる。20年後、中年のブライアン(ジョン・キューザック)は精神科医のユージンの監視下で生活していた。ブライアンと交際し始めたメリンダ(エリサベス・バンクス)は、彼に家族との面会までも禁じるユージンの強い支配に疑問を持つ。8月1日(土)より角川シネマ有楽町ほか全国ロードショー
【みどころ】
有名ミュージシャンの成功物語、あるいは栄光から転落していくさまをつづった映画は多い。今回もその手の映画と思いきや、たまたま主人公が有名ミュージシャンなだけで、これは医師の横暴と策略により自分らしく生きる権利をはく奪され、食い物にされた精神患者の苦悩と再生をテーマにした物語である。ポール・ジアマッティが怪僧ラスプーチンのような眼力でブライアンを洗脳。精神患者の後見制度が持つ問題を浮き彫りにしている。過去と現在の描写切り替えは、才能のおもむくまま生きた若き日と、ユージンの一言一句におびえる中年以降とを分け、ブライアンを二人の俳優で演じる方式が成功している。
【初出・Wife372号 2015年8月 文/仲野マリ】
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