「宮松と山下」

©2022『宮松と山下』製作委員会

エキストラの男が選んだ「ほんとうの自分」

 

監督・脚本・編集:関友太郎 平瀬謙太朗  佐藤雅彦
企画:5月(監督集団)
配給:ビターズ・エンド
公開:2022年11月18日(金) 新宿武蔵野館、渋谷シネクイント、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー
公式サイト:https://bitters.co.jp/miyamatsu_yamashita/

 【ストーリー】
エキストラ俳優として、一日何役もを淡々とこなす男・宮松(香川照之)。ある日彼を「山下!」と呼ぶ男・谷(尾美としのり)が撮影所にやってくる。宮松は12年前、記憶を失くしていたのだ。谷に背中を押され実家に戻った宮松を、「妹」の藍(中越典子)とその夫健一郎(津田寛治)は温かく迎え入れる。宮松の過去が判然としないまま、手探りの同居生活が始まった。

【みどころ】

冒頭ほとんどセリフがないまま、次から次へと強烈なアクションシーンが重ねられていく。どれがエキストラの撮影シーンで、どれが宮松の生活シーンなのか彼の日常と非日常を行き来して物語は進む。その段階を踏むことで、役者とは「器」であり、その器に「役」という魂が注ぎ込まれて動き出すことが肌で感じられる、秀逸なオープニングだ。
中盤からはミステリータッチ。寡黙な「宮松」が、「山下」としての自分をどこまで思い出しているのか。記憶を失くした事件には誰が絡んでいるのか。記憶喪失はウソなのか?と、謎が謎を呼ぶ展開だ。
香川照之は一切の「気」を消したうつろな目、微かに痙攣したように見える口元など、過去を求めているかいないかわからない演技が粒立つ。彼の人間としての内面はともかく、「器」としての俳優の力を見せつけた一作である。

【初出:Wife401号 2022年11月、加筆の上公開 文/仲野マリ

 

「新章パリ・オペラ座 特別なシーズンの始まり」

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