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「タクシー運転手 約束は海を越えて」

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行かなくてはわからなかった光州事件の真実

監督: チャン・フン
配給: クロックワークス
公開:2018年4月21日(土)より、シネマート新宿ほか全国公開
公式サイト:http://klockworx-asia.com/taxi-driver/

【あらすじ】
ソウルのタクシー運転手マンソプ(ソン・ガンホ)は妻を亡くし、貧しいながらも男手一つで11歳の娘を育てている。あるとき「光州に乗せていってくれたら10万ウォンを支払う」という言葉につられ、ドイツ人記者ピーター(トーマス・クレッチマン)を乗せて光州を目指す。途中にあった検問を機転で切り抜け、光州に入ると、そこには市民が起こした反政府デモで荒れた街が広がっていた。マンソプは片言の英語でソウルへ引き返すことを提案するが、ピーターは取材を始めてしまう。帰るに帰れず光州に留まるうちに、英語が話せる大学生ジェシク(リュ・ジュンヨル)や光州のタクシー運転手ファン(ユ・ヘジン)たちと出会う。彼らを通じて広州の実情を知り、マンソプの意識は変わっていくのだった。

【みどころ】 
光州事件とは、1985年、韓国の広州を中心に反政府を掲げた市民の蜂起と、市民を暴徒とみなして銃弾を浴びせた軍の制圧を指す。本作はこの光州事件を世界に知らせたドイツ人記者ユルゲン・ヒンツペーターと、彼を光州へ連れて行ったタクシー運転手キム・サボク氏の実話をベースに作られた。
主人公のマンソプは滞納している家賃を払うため、ピーターを乗せて広州に向かう。彼に政治的意識はなかった。むしろ、デモに参加する大学生に対して「韓国は住みやすい。文句を言うのは苦労を知らないからだ」と考えるノンポリ。そんなマンソプの目を通して、軍による無抵抗の市民への銃撃やマスコミに対する規制を映し出す。「光州で何が起きているのか」。マンソプの驚愕や疑問がストレートに伝わり、観客は追体験していく。初めは傍観者だったマンソプが後半になると自ら考え、光州で知り合った人々とともにタクシー運転手ならではの関わり方で行動する。そして、「光州で起こったことを世界の人たちに伝えてほしい」とピーターに希望を託した。本作はマンソプだけでなく、光州事件報道のために命を懸けた名もなき人々の存在を教えてくれる。

【文/堀木三紀

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