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「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」

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学芸員の「プレゼン」が圧巻! きっとあなたも絵が好きになる

監督・編集・録音:フレデリック・ワイズマン
配給:セテラ・インターナショナル
封切:1月17日(土)よりBunkamuraル・シネマほか全国順次公開
公式サイト: http://www.cetera.co.jp/treasure/

【ストーリーとみどころ】
1842年創立の英国初の国立美術館、ナショナル・ギャラリー。小さいながらも珠玉の美術品が揃うこの美術館に、ドキュメンタリーの鬼才、フレデリック・ワイズマンが3カ月にわたり密着取材を敢行、各作品と、美術館を支える人々にスポットライトを当てる。単なる「バックステージもの」ではなく、作品一つひとつの持つ魅力に焦点が当てられているのが芸術を愛するワイズマンらしい。特に、美術館の入場者に対し実際に行われている10分間解説をそのまま撮影しているのだが、この「プレゼン」がとてもステキなのだ! 学芸員たちがその絵の中に何を発見し、どんなきっかけで美術を愛するようになったのかを情熱的に語る。彼らの「感動」が、美術品の芸術性と合体して観る人々の心を揺り動かす様子は、美術館が、芸術や美の知への扉であることを証明している。また、絵画修復を手掛ける人々の驚愕の緻密さに、イギリス人らしさものぞいて微笑ましい。最後に英国ロイヤルバレエのダンサーが、ギャラリーの中でパ・ドゥ・ドゥを踊るのだが、時を越えてそこにある絵画と現代の芸術家が並び立ち溶け合う瞬間には、何とも言えぬ美しさがある。美術館という空間そのものが、すでに一級の芸術品であることを実感した。3時間という長丁場だしストーリーがあるわけでもないが、意外にも長いと感じない。ひとつひとつの作品に物語があるからだろう。ロンドンに行ったら絶対ナショナル・ギャラリーに行って、「10分間解説」を聞きたいと思う。

*英国ロイヤルバレエのダンサーは、エドワード・ワトソンとリアン・ベンジャミン。リアン・ベンジャミンは、熊川哲也がロイヤルバレエ在籍中、何度もペアを組んだ人である。

【初出:仲野マリの気ままにシネマナビonline 2015年1月4日(再録に際し加筆修正)】

「何を怖れる~フェミニズムを生きた女たち~」

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