失踪13年。息子の知らない親の顔
〜 斎藤工が長編映画監督に初挑戦〜
監督:齊藤工
原作:はしもとこうじ
配給:クロックワークス
公開:2/3(土)シネマート新宿にて公開 2/24(土)全国順次公開
公式サイト:http://blank13.com/
【ストーリー】
13年前に突然失踪した父(リリー・フランキー)が余命3カ月で見つかった。ギャンブルに溺れ借金を残して消えた父だが、コウジ(高橋一生)は優しかった父の記憶が忘れられず、入院先の病院を訪れる。再会を果たした二人の会話はまったく弾まず、もやもやした気持ちを抱えるコウジ。母(神野三鈴)と兄(斎藤工)は会いに行こうとせず、やがて父はこの世を去ってしまう。そして迎えた葬儀の日。数少ない参列者が語る父のエピソードに、家族の誰もが知らなかった父の姿が浮かび上がる。
【みどころ】
俳優でもある齊藤工監督が、高橋一生を主演に迎えて長編映画に初挑戦したヒューマンドラマ。実話をベースにある小さな家族の物語を、前半後半がらりとトーンを変えて見事に描き切った。後半は特に、監督の意向で長回しのアドリブ全開。葬儀の参列者として佐藤二朗や村上淳のほか、芸人やアーティストまで登場して演技合戦を繰り広げる。そこには感慨深さ、可笑しみ、しんみりした気持ち……さまざまな感情が押し寄せ、主人公のコウジや兄、母、それぞ れの気持ちに想いを巡らせることができるようになっている。主題歌の歌詞にもある「どこにでもあるような家族の風景」を見事に切り取った70分。監督が誰など途中から関係なくなり、純粋に物語に引き込まれ、見終わった後は自分の家族のことを思う余韻まで残った。
【文/富田夏子】
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