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「超高速!参勤交代」

©2014「超高速!参勤交代」製作委員会

弱小藩士が幕府に挑む青春コミカル群像劇

監督: 本木克英
配給: 松竹
封切: 6月21日(土) 全国ロードショー
公式サイト: http://www.cho-sankin.jp/

【ストーリー】
江戸時代、各藩の藩主を一年おきに江戸に出仕させる参勤交代制は、諸藩に金も時間も使わせて、幕府に対抗させる力を蓄えさせない壮大なしくみであった。山間の小藩、湯長谷藩の一行は、1年の江戸への参勤を終え、ようやく故郷に帰ってきたところ。ところがゆっくりするのもつかの間、幕府から再び「参勤せよ」との指令が! それも金山の届出に不審あり、との呼び出し理由で、「今日より5日以内に」というありえないタイトなスケジュール。従わなければ藩のお取り潰しは確定だ。気弱な藩主内藤政醇(佐々木蔵之介)は頭を抱えるが、家老相馬兼嗣(西村雅彦)らとともに必死で江戸を目指す。しかし道中には彼らをの行く手を阻む者たちが! この、どう考えても不可能な「参勤命令」の裏には、幕府老中信祝(陣内孝則)の黒い企みが潜んでいた。

【みどころ】
無理難題にも「やってやろうじゃないの!」の心意気が爽快な、青春時代劇だ。窮地を脱するため、知恵と勇気と絆で大きな権力に対抗する仲間たち。笑いあり活劇ありでテンポよく、ちょっと見はドタバタ喜劇のように見えて、冒頭の何気ないやりとりがクライマックスで重要になるなど、伏線もきちんと張られていて破綻がない。また、絶対権力に蹂躙される庶民の気持ちも描かれており、登場人物一人ひとりの生き方に共感できる。「時代劇のカッコよさを残しながら、現代に通じる新しさを求めた」という本木克英監督の志が、キャスト・スタッフに浸透した結果だろう。弱小藩側の藩士の中では、無謀な江戸行きに反対しながらも全力を尽くす秋山役の上地雄輔がいい。徳川吉宗役には、佐々木蔵之介をスーパー歌舞伎に誘った歌舞伎俳優・市川猿之助。さすがの貫禄である。「タイムリミットに向かってゴールに向かう」という汗臭い男たちのサバイバル・ロード・ムービーに華を添えるのは紅一点の深田恭子(お咲)。彼女との出会いが、藩主・政醇をいかに成長させるのかも大きな伏線となっている。

【初出:仲野マリの気ままにシネマナビonline 2014年6月7日(再録に際し加筆修正)】

「8月の家族たち」

「her/世界でひとつの彼女」

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