3・11が突きつけた生きること・歌うこと
監督:佐藤隆之
配給:オリオフィルムズ
公開:11月19日より渋谷ユーロスペースにてレイトロードショー
公式サイト:http://www.kapiapamovie.com/
【ストーリー】
幼い頃から歌が大好きな阿寒湖コタン出身の姉妹。長じて妹の富貴子は地元で暮らし、姉の絵美は東京でプロの歌手になっていた。2011年3月、東日本大震災によって福島の原子力発電所が爆発すると、高尾に住む絵美は3人の子どもへの影響を考え、ふるさとに身を寄せる。富貴子はこの機会に地元で姉のライブを開こうと考える。
【みどころ】
カピウはかもめ、アパッポは花。アイヌの歌を歌い続ける姉妹を追ったドキュメンタリーだ。が、ありがちな「アイヌ民族の蹂躙された歴史」への言及は少ない。彼女たちにとってはただおばあちゃんから伝承の歌やムックリを習って身につけただけのこと。どこの家族にも起きるようなきょうだいげんかや、コンプレックスに押しつぶされそうになる苦しさを乗り越え、2人がたどり着く「自分らしく生きる道」。草原に響く透き通った声が清々しい。普段は明るい絵美が子どもの鼻血に慌て、車を走らせる絵美の顔には、当時の母親たちの不安と焦燥が投影されている。
【初出:Wife377号 2016年11月 文/仲野マリ】
この記事へのコメントはありません。