「望み」

©️2020「望み」製作委員会

加害者か被害者か? そのとき親が祈ることは

監督:堤幸彦
原作:「望み」雫井脩介(角川文庫刊)
配給:KADOKAWA
公開:10月9日より全国ロードショー
公式サイト:https://nozomi-movie.jp

【あらすじ】
高校生の息子・規士(岡田健史)が帰ってこない。今日もまた夜遊びか、と母・貴代美(石田ゆり子)は思っていた。怪我でサッカーを諦めた規士は目標を失って、最近何を考えているのかよくわからない。ところが事態は急変する。遊び仲間の死体が発見され、一緒にいたと思われる息子に事情を聴こうと警察がやってきたのだ。一向に行方のわからない規士は犯人ではないか? SNSでは噂が広まり、マスコミは家の周りから離れず、建築士の父・一登(堤真一)の仕事や妹・雅(清原果耶)の受験勉強にも影響が出てくる。やがて行方不明はもう一人いることがわかった。主犯者が1人の場合、あと1人は殺害されている可能性が高くなる。我が子は加害者か、それとももう一人の被害者か?

【みどころ】
子どもの生死がわからないだけでも辛いのに、生きていれば殺人者、そうでなければ死んでいるとは、救いようのない話である。父親は殺人者でないことを祈り、母親はどんな形でも生きていてほしい。そのベクトルのすれ違いが、ただでさえ緊迫した家庭の空気を殺伐とさせる。
加害者か被害者かで手のひらを返す“第三者”の暴走についても、知り合い、SNS、マスメディアと重層的に描いていく。キーマンは、貴代美を訪ねる週刊誌の記者・内藤(松田翔太)だ。声高に非難と罵声を浴びせる他の人間たちと異なり、内藤は静かに、しかし不気味に距離を縮めてくる。少年犯罪について語る警察官(加藤雅也)の言葉も重い。
親は、子どもの行方がわからなくなると、それが一晩だったとしても生きた心地がしない。あっという間に白髪になったり、食べ物の味がしなくなったり寝込んだり、心身に大きな傷が残る。大きな試練の渦に投げ込まれた彼らが、その渦から這い出した後、どのように再生していくのか。その道のりも並大抵ではないはず。前半のミステリータッチの緊迫感が重厚なだけに、できれば「その後」もじっくり追ってほしかった。

「剣の舞〜我が心の旋律〜」

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