人には幸せに生きる「義務」がある ~黙示録から始まる3つのお話〜
監督・脚本:マイク・フラガナン
原作:スティーヴン・キング
配給:ギャガ、松竹
公開:5月1日(金) 新宿ピカデリー他全国ロードショー
公式サイト: https://gaga.ne.jp/thankyou_chuck/
【ストーリー】
地球上に次々と大災害が起こり、世界は最後の日を迎えようとしていた。まず通信が途絶える。電気も消える。ガソリンもなくなる。人々は次第に「日常」より「今一番したいこと」を選んで突き進む。そんな時、あちこちで見かける謎の看板「サンキュー、チャック」。この眼鏡をかけたヤサ男は、一体何者なのか? 人類を救ってくれるのか? それとも?
【みどころ】
冒頭、何の説明もないまま壮絶なクライマックスに突入する緊迫感。が、それは序章に過ぎない。3部構成の2幕目は、全く異なる映画のようにして始まる。世界の終わりなどどこ吹く風の、明るいトーン。ここで繰り広げられる背広姿のチャック(トム・ヒドルストン)のダンスが素晴らしい。生命のほとばしりに胸が熱くなる。
そこから、「チャック」の幼少時代を描く最終章に。内気な少年(ベンジャミン・パジャック)がダンスに出会うまで。そして捨てるまで。幸せに生き抜くとは? 人の一生とは?
本当に「世界の終わり」が来てしまいそうな昨今、監督が「原作通り」に進めた3部構成が効果的だ。
実はこの「原作」からして第3章から始まる、という異色の作品。
最初が第3章で「サンキュー、チャック」
次が第2章で「大道芸人、サイコー!」
そして第1章にして最終章に繋がる。それが、「私の中には無数の人々がいる」だ。
背広を着て生真面目に働いてきた男が人生の最期のときを迎えた時に見る「走馬灯」。
これまで生きてきた全てが甦り、体験したこと、経験したこと全てが愛おしく、一つとして「無駄」や「失敗」などなかった、と思える瞬間。
そしてその生きざまは、観客の私たちにも「生きる」ことを前向きに思わせてくれる。
原題は「The Life of Chuck」。こちらの方が、映画の内容と合致しているかもしれない。
また、クレジット「© 2024 DANCE ANYWAY, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.」の「DANCE ANYWAY(とにかく踊れ!)」が、生きる歓びを表していて、私は好きだ。
【文/仲野マリ】(『Wife』415号 2026年5月刊行「仲野マリの気ままにシネマナビ」に掲載したものに加筆)
【追記】
2026年10月21日、「サンキュー・チャック!」のDVDおよびBlue Rayが発売になります。
以下のプレスリリース(2026年7月17日)で、映画の冒頭2分半が特別公開になっています。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000557.000053064.html











この記事へのコメントはありません。