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「8月の家族たち」

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「絆」と書いて「しがらみ」と読む母娘の物語

監督: ジョン・ウェルズ
配給: アスミック・エース
公開:4月18日よりTOHOシネマズシャンテ他ロードショー
公式サイト:https://www.asmik-ace.co.jp/lineup/1094

【ストーリー】
父失踪の知らせを受け、実家に駆けつけた3人の娘たち。母(メリル・ストリープ)はがん治療で薬漬けの日々だが、勝気は相変わらずで毒舌全開。特に長女バーバラ(ジュリア・ロバーツ)とは寄ると触るとケンカが始まる。バーバラも夫と別居状態で心が落ち着かないのだ。やがて父親の遺体発見。事故なのか、自殺なのか。家族の秘密が少しずつひもとかれていく。

【みどころ】
母親を反面教師に独立しても、結婚や子育てに行き詰り、自分のやり方や価値観が揺らぐ時がないだろうか。そして「母親似」な自分に気づくことが。この物語は、仕切り屋の長女、目立たない次女、男に惚れっぽい三女の目を通し、「なりたかった自分」と「なれなかった自分」が残酷に錯綜しながら展開する。何といってもメリル・ストリープの怪物的演技に圧倒される。女の業(ごう)に負けまいとする気概と悲哀がないまぜになっている。注目したいのが次女アイビー(ジュリアン・ニコルソン)だ。実家の近くにいてくれてよかったという姉や妹たちに、「本当は自由になりたかった。2人が出て行ったからとどまるしかなかった」と、本心を吐露する場面に真実味がある。長い不在とカンチガイを超えて、アイビーも自分らしい生き方を選べると思ったときに暴露される秘密の冷酷さ。すべてを知ってもう一度最初から見たい映画である。

【初出:Wife367号 2014年5月 文/仲野マリ】

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