「君の名前で僕を呼んで」

©Frenesy, La Cinefacture

避暑地の夏、本当の恋を見つけた息子へ

監督:ルカ・グァダニーノ
配給: ファントム・フィルム
公開:4月27日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
公式サイト: http://cmbyn-movie.jp/

【ストーリー】
1983年夏。17歳のエリオ(ティモシー・シャラメ)は、毎年家族と過ごす北イタリアの避暑地にやってきた。エリオの父(マイケル・スタールバーグ)はアメリカの大学で教授をしており、ひと夏の間エリオの一家と一緒に暮らすインターンを毎年受け入れている。今年は24歳の大学院生・オリヴァー(アーミー・ハマー)がアメリカからやって来た。趣味のピアノやギター、読書、友人たちとの遊びを楽しむエリオは、最初は態度が尊大に見えたオリヴァーのことが気になり始め、やがて二人は激しい恋に落ちる。しかし夏の終わりが近づくにつれオリヴァーが帰国する日が迫り、二人の関係は変化を遂げようとしていた。

【みどころ】
エジプト生まれのユダヤ人作家、アドレ・アシマンの小説を映画化した男性同士のラブストーリー。テーマだけ聞くと好みが分かれるところだ。ただ、描かれているのはとても普遍的な青春時代の恋の痛みや、家族とのつながり。切ない恋心がこれほどまでにすっと胸に染み込むゲイカップルの物語は、これまであまりなかったのではないか。それは主人公エリオの両親が、彼の生き方を認め、応援してくれているから。父親は大学教授で母親は翻訳家。英語、イタリア語、フランス語が日常に飛び交うセレブ家庭で、その上エリオはピアノもギターも堪能な、まだ少年っぽさも残るイケメン! 当然同世代の女子からもモテる彼だが、心から恋に落ちたのは男性。息子の気持ちに気づいた両親の言葉や態度には、「本当の意味で子どもの成長を見守るというのはこういうことなのかな」と子どもを持つ親として感じ入るところがあった。
舞台となる北イタリアの風景や食事シーン、ほぼ全編通して聞こえるピアノの音色。すべてが美しくゆったりとした時間が流れる贅沢な映像作品だ。胸がきゅっとするラスト近くに向けて、タイトルの意味を噛み締めたい。

【文/富田夏子

「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」

「北の桜守」

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